人権学習では、頑張る子どもたちですが、なかなか普段の生活に結びつかないとよく言われます。
　その原因の一つに、自分がいじめをしたなど具体的な自分の行為の不当性を認めずらい点があります。普段の生活でのいじめや悪口はダメとはわかっています。でも、自分のする行為には（自分の中に自分なりの）理由があるから、自分のする言動そのこと自体がダメと認めることに抵抗がある場合が多いいのです。
　それを崩していくためには、まずは、子どもたちの悪口やけないしあいの人間関係を対等な、相手を大切にしあう関係に作り変えていくことが必要です。そのために、ルール順守、礼儀を含めての生活態度、コミュニケーション能力、自分をコントロールする力など、今道徳をはじめ学校で実践されていることが人権基礎教育なのです。

　人権学習を普段の生活に生かすということで言うと、子どもたちと教師とでかなりのギャップがあるのが現状です。教師としては、普段の生活でなぜ子どもは変わらないのだろうと勝手に思い、子どもたちは、人権学習で学んだことと生活での自分の行動がなかなか一致しないのです。
　例えば、授業中立ち歩きをしない、掃除をがんばるなど一見、人権学習と関係ないと思われることを結び付けていく作業を教員がしていかないとなかなか子どもたちは変わりません。
　人権学習を発揮できる場面（思いを出し合う、注意をしあう、自分と向き合うなどの場面）で、雰囲気（空気）を作るためにできることや雰囲気を崩さないためにしてはならないことを考えさせることなど、普段の生活に近づけるために小さなステップを踏むことや、納得させていくことが大切です。

　そうやって子どもに、生活と学習したことの関連性を理解させていくと・・・、子どもたちは、なぜ自分は行動できないのか？自分の中に理由を見つけようとします。すると「我慢する文化」や「見通しを持つ文化」そして、「本や文字を読む文化」や「学習をする文化」が奪われている家庭に気付いていく子どもたちもいるかもしれません。自分や親の生活の中に差別が見えてきたりします。そして、頑張れない自分を仲間にさらけ出して、頑張りたい自分を語ることにつながります。
　そうすることで、「人権学習めんどくさい」と言っていた子どもの本音である、人権問題も大切だけど自分の問題もなんとかしてほしいと悲鳴を上げていた子どもたちが、本気で人権学習に向かい合うようになります。
　これこそが人権学習を普段の生活にいかすということなのです。

　２学期を振り返って頑張った人を認めあい、伝え合う取り組みや、アイメッセージ（私メッセージ）のぬくもりを伝え、アイメッセージで相手のプラスになる手紙を書きあいました。
　生徒たちは、仲間への安心感を持ち、また、頑張ろうとします。すると、あったかい年末のクラスへと・・・。

　２学期やんちゃをしていた男子の親と本人に内緒で話をし、そして、後方から支援をいただいていました。その子が２学期後半には、「先生が自分に目をかけていることを知って頑張りたくなった。」と伝えてくれ、頑張りました。その子と親との懇談で、褒めまくりました。そして、「実は、君には内緒で親と話をしていたんだ。」と言うと、とってもいい顔。最後に、彼は、「先生、３学期は見ておいて。俺もっと変わるから。」