私なら・・・口では、見返りを求めないと生徒の前では言いますが、やはり、○○くんがしているんだと知られたら、うれしいという気持ちがあります。おそらく、どっかで、実は自分がしているんだと知られたい、知らせてしまうんだと思います。Ｂ男の場面なら、「してやっといたぞ」と、いつか言ってしまうのだと思います。

　そう考えると・・・あの二人の行動がとっても尊く感じます。この「尊い」という言葉こそピッタリです。「素晴らしい」でもなく・・・「素晴らしい」は、何かほめている言葉のような気がします。ほめるとは、ほめて伸ばすという言葉があるように、見返りを期待している言葉のような気がします。

　私にはない素敵な行動だから、あの二人の行動は「尊い」のです。その言葉の後ろには、私もあの二人のような人になりたい・・・そんな気持ちです。
　人間見返りを期待して頑張るのが普通です。勉強でも、成績を上げたくて頑張ります。それは、もちろん仕方ないことで、実は、それも大切です。社会に貢献すると給料としてお金がもらえる、それは、当然のことですから・・・。でも、そういう世の中だからこそ、私たちが忘れがちなあの二人の行動が「尊い」のです。

　ある別の男子（Ｃ男）が、こう言っていました。「Ａ子は、すごい。僕は、あの人の気づかれずにクラスのためにするすごさを知っている。」と言いました。そして、Ｃ男はこうも続けました。「僕は、Ｂ男が何かに立候補するなら応援演説したい。」
　実は、人からの本当の信頼はこういう人たちこそあるんだろうと思いました。

　発達障害と診断される子どもたちも最近多く、薬をのんでいる子も多くいます。ある保護者は、薬をのむことに対して、「一生に一度の中学生、飲んで頑張れるのなら、飲まないと損。」と言われます。そんなことを、ほかの保護者にも伝え、保護者同士のつながりが、できたら・・・と考えています。