はじめてメールします。

気持ちを、心の底にあるなんとも言えないはがゆさ、一人ではどうにもならない思いを聞いてほしいです。同じように苦しみ、言いようのない怒りと悲しみを持っている方が私以外にもたくさんいた事に差別が本当に意味のない事だと、もっと皆が気付いてほしいと 思いました。一人ひとりの心の持ちようだと私は思います。

私は四年半付き合っている彼氏がいます。彼は同和地区で、私は付き合って間もないうちに本人から直接聞きました。部落差別がある事。人と同じなのに何かが違う事。地域的に差別をされている現実を子供の頃に学校の授業で学習したとも言っていました。小学生の時、自分はそうではないと思っていて親に尋ねたら、血筋は部落だった事にショックであった事。そんなショックをうけていた自分の様子を寂しそうに見ていた母親の 顔が忘れられないと彼は話してくれました。子供ながら、お母さんを傷つけたと思い、二度とこの事に触れまいと誓ったと。淡々と話してくれた彼とその家族の言いようのない陰りが、私の心臓をギュっと掴んだ感じで何も言えませんでした。私の父は公務員で小さい頃からしつけには厳しい父でした。曲がった事が嫌いな典型的な昔気質の父親で、絶対父の言う事は正しいのです。幼ない頃は父に好かれたい、いい子で褒められていたいと思っていたので、父親の言う事は素直に聞いていました。部落差別の事も聞かされていて、差別の意味も判らないまま「あの子とは遊んではダメ」の一言でその子と距離をおく様になって一緒に遊ぶ事もしませんでした。そんな自分を本当に恥じました。私は、部落差別を知っていた事を彼には黙っていました。そんな父親のことを彼には話さず、父にも彼の地域の事は言いませんでした。

お互いの家に行き来したり、食事に行ったり、私の両親も彼を気に入って早く結婚しろとうるさいぐらいでした。そろそろ結婚しようかと考えていた頃に、父が調べたのか何かのきっかけで彼の実家が部落地区である事を知り、私にも確認してきました。確認するというより、問いただすという表現が合うかもしれません。「知っていたのか」と聞かれ、「知っていた。判って付き合っていた」と答えたら、「別れろ」でした。四年以上も付き合っていたのに、彼の性格も知っていたのに、今までずっと食事や正月やと何かにつけて一緒に過ごしてきたのに、全否定でした。理由は「俺はこの家にそんな血を混じらせたくない」「先祖に申し訳がたたん」と。なんて悲しい言葉をいうのかと、なんて心の持ちようなのかと、私は心の底から軽蔑しました。「お前があいつの家に行くなら、戸籍も抹消する」と言われました。母も泣いていました。その母に「お前もこいつを生んだ事を忘れろ」と。　その言葉に息が止まる思いでした。

信じられない、ありえない、この人は私の親なのだろうかと、そしてまた母に、「お前も痛い思いをして必死に育ててきた娘が、こんな奴で張り合いないのう」「要らん娘やぞ。お前みたいな娘は恥ずかしいわ！」と言われました。こんな奴から恥ずかしいと言われた事に、正直殺してやろうかと思いました。自分が死のうとも思いました。うつ病になりそうでした。「差別なんか関係ない」「お前が幸せやったらがんばれ」などと言う父親では無かった。ショックでした。父の仕事柄、昔に同和の方の生活を見たと言うのです。こんな所で生活をしているのかという程の汚いところで定職も付かずフラフラしていたり、一緒に生活をしている女の人を売り付けてその稼いだお金で日々を過ごしている者、同和差別をされるという事を逆手にとって有利に事を運ぶ者。一般的には差別はしてはいけないとか人権を守るとか、きれい事を言っても　世間の目はまだまだ冷たいのだと言う事など。昔はそうであったかもしれない、そんな人もいたのかもしれない、でも彼とはずっとお酒を共にしたりと長い間付き合ってきた過程があるのに、手のひらを返 したその態度に自分の親ながら、悲しかった。悔しかったです。

彼に、父の事を話ました。彼は「今までにも悔しい思いを嫌というほどのんできとる。これからもそれは変わらん」俺の事よりも、お前の幸せを見つけたほうがええぞと。私は彼についていく意志を伝えました。その話をしてから三ヶ月ぐらいは普通に過ごしていたのですが、彼の中には葛藤があったみたいです。何の迷惑を掛けた訳でもないのに、部落というだけで、上からの目線で物云いされる事。そこまで言われた親父の娘 と一緒になるという事。何よりもこの状況の事実を知った彼の母が、「私があかんのやな‥」ってあの寂しそうな顔をしていた事に表現しきれない程のせつなさを感じたと。結婚よりも付き合いをやめるように言われた事。何よりも信頼していた者に裏切られた事に正直ええ勉強になったと。俺は何なのかと笑って言っていました。

胸が苦しいです。私よりも、笑って言っている彼の心がズタズタになっている事が苦しいです。先週、やっぱり一緒になれやん、 しばらく距離をおいてくれ。と言われました。彼の中ではこれからの人生に私は必要ないのかもしれません。でもこんな辛い思いを二度と彼にさせたくありません。もっと人を信じていいのだと安心させたい。「お前とは背負とるものが違う」と言われたことが胸に突き刺さりました。そんな事言わせたくないです。

本当に長々と失礼しました。今まで溜めていた気持ちをぶつけさせてもらいました。こんな時間になってしまって。泣いても、泣いても涙がとまらないんです。どこにこんなに水分があるのかと思うほどです。最近眠れなかったのですが、少し眠れそうです。ありがとうございました。