本名を名乗るとはどういうことか？もう一度、在日コリアンを取り巻く現状から考えていきたいと思います。在日コリアン以外にも、多くの外国人が日本社会に入ってきている現状。または、３世、４世の代になり名前というものが多様化してきています。本名、通名という二つでは語りきれなくなってきています。

　在日コリアンと在日コリアンとの子供の場合。

本名というのは民族名であり、通名というのは日本名です。また、民族名を日本読みしている場合とそのまま読んでいる場合もあります。

　日本国籍取得者と日本国籍取得者との子供の場合。

　この場合、本名とは日本名、通名とは民族名。また、本名として民族名を取り戻す人もいます。

　日本国籍取得者（父）と在日コリアン（母）との子供の場合。

　本名は民族名である場合、通名は父の通名を使う場合と母の日本名を使う場合があります。本名が日本名の場合、通名として母の民族名を使う人もいます。

これだけがすべてではありませんが、こう考えていくと、本名とは？民族名とは？通名とは？その考え方は、それぞれの立場でとらえ方が違うんですよね。

　よく「本名を取り戻す取り組み」と言われているのは、結局、自分のルーツを取り戻すこと、つまりは表面的には民族名を取り戻すなんですよね。また、4世、5世となっていくと、育っていく日本にも愛着を持ってくるものです。ですから、時代的にみて、「日本名を捨て本名を取り戻す取り組み」を強制するようなものであってはならないとも思います。

　複雑で多様で表面的なもので何がいいのか？と結論付けられませんが、基本的に、自分がどういう人間であるか、だから、どういう名前を使い、どういうふうに生きていくか？ということがアイデンティティであり、それに誇りを持ち伝えていけることがもっとも大切なのではと思います。

　そのために、学校としてできることは、自分を見つめ、様々な立場の方（本名で生きる人の素敵さなど）に触れ、自分を伝える機会を作っていくことが大切です。伝えあうことは、また、生き方に触れられるし、その中から自分を見つめられます。