日本国籍をもっていないというだけで、結婚や就職で差別が今でも残ってます。日本は1910年「韓国併合」（日本の歴史の教科書では「日韓併合」と言うが）によって、朝鮮を植民地にしました。そのとき、日本人になるか死か選択させられました。ただ日本人になると言っても、対等な関係でなく、朝鮮人は民族として劣っているから、支配されても当然と思わさたり、日本人とは区別されていました。

日本の朝鮮への支配において、もっとも民族の誇りを踏みにじったものは、1940年の創氏改名（そうしかいめい）です。朝鮮には、「姓を変えて生きる」という言葉があるそうです。姓を変えることは、その一族から離れて、どこの誰であるか、わからなくなることであり、これ以上の屈辱はないとされています。姓というものは、朝鮮民族にとって数百年間にわたって続けられてきた一族の連帯を表す長い伝統文化を背景にしていることを示しています。創氏改名はそのような朝鮮人の精神的な支柱を真っ向から否定するものでした。そして、天皇のための戦争に向けて、軍需産業などの労働者として「強制連行」され日本につれてこられたのです。

戦争が終わると、今度は保障もなく、日本人になるか（帰化）朝鮮に帰るかの選択を迫りました。しかし、帰りたくても帰れない状況があったのです。まず、日本で作った財産があってももって帰れない。帰ったとしても、逆に朝鮮で差別を受けるということが起こったのです。そういうことで多くの在日韓国朝鮮人が生まれたのです。

様々な運動によりかなり改善はされていますが、現在でも帰化しないと受けれない権利がまだ多くあります。「日本がいやなら本国に帰ったらどう？」という言葉を聞くときがあります。誰であっても、頭を下げておとなしくしていればおいてやるが、自己主張をしたり権利を要求すれば追い出すというのでは、まるで主人と奴隷の関係です。少なくとも同じ人間としての気持ちは失われています。そのようなおごり高ぶりこそ差別を生み出す下地になるのです。「生活しにくいなら出て行け」と人を追い出してもよいという考え方がある限り、次から次へと追い出す対象を作り出していきます。「差別がいやなら出て行け」ではなくて「差別を追い出す」ことこそ大切です。

「帰化をしたら？」という言葉も同じです。自分らしく生きる、誇りを持つとは、要するに、「自分は誰なのか」ということです。どのような歴史によって自分は存在し、何を大切に思って生きていくのかという心の問題です。「差別が存在する社会」を棚上げにして、「差別される立場」いることが悪いように言うのっておかしいですよね。